提言1「つながる工場」

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この提言は、日本機械学会生産システム部門の有志により、2014年6月に発表された”日本的な「つながる工場」実現へ向けて製造プロセスイノベーションの提言”を再掲載したものです。
  

1. はじめに

ドイツ政府が国策として産学官で現在取り組んでいる「第4次生産革命、インダストリー4.0」のキーコンセプトは、「つながる工場」である。モノのインターネット(IoT)の今後の急速な普及にともない、工場の設備や機器が工場の垣根を越えてつながり、製造の現場と消費者とがダイレクトにつながる。そして、そうした設備や機器の調達先や、それらを操作する作業者、設置または修理するエンジニアもがネットワークでつながり、製造業のビジネス形態、働く人々のライススタイルまでもが大きく変わることを予見している。

一方で、我が国では、多くの製造業がよりコストの安い労働力を求めて製造拠点を海外へ移し、多くの雇用が失われると同時に、世界に冠たる製造立国として、その基盤そのものが大きく揺らいでいる。グローバル化の流れとともに、サプライチェーン、エンジニアリングチェーン上での競争ルールが劇的に変わり、部品メーカー、製造機器メーカーといった、最終製品メーカーにモノを供給する企業も、勝ち残りのための戦略転換を余儀なくされている。10年後、20年後を見据えた変革はどうあるべきか。キーワードは、オープン&クローズ化、製造のサービス化、そしてICTによる“日本的な”「つながる工場」だ。

現在、モノづくりのイノベーション政策として、3Dプリンタの技術開発とその普及が注目されている。あるいは産業用ロボット技術の用途拡大などに期待が集まっている。戦後の高度成長期を支えた町工場が生活空間のすぐそばにあったように、これらの新たなイノベーションは、ものづくりの現場をより身近な場所に引き戻す大きな流れとなるだろう。ただし、その一方で、変革を迫られた従来の工場では、大規模な投資もままならない情勢の中で、あい変わらず、戦略的手詰まり感が蔓延している。

本稿では、中堅、中小製造業も含めた次世代工場のためのキーコンセプトを明らかにし、我が国のモノづくりの基本政策として取り組むべき課題と、その解決へむけた方策について提言する。ドイツの例を見るまでもなく、もはや製造業の世界においてもICT化、オープン化、ネットワーク化は避けてとおることができない。ただし、我が国は、我が国がもつ技術力、開発力、現場力、そして過去から培ってきた日本的なモノづくり文化を踏まえ、我が国なりのやり方で「つながる工場」を定義し、それを実現すべきである。

そして、提言とともに、日本機械学会生産システム部門としての立ち位置、イノベーションの実現へ向けて貢献できる技術的、学問的なテーマと課題、そしてこれからの具体的なアクションプランについても併せて付記したい。

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