業務シナリオ

設備ライフサイクルマネジメント


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省略名 1105
状態 完了
カテゴリ 設備連携 (10001)
設備間でデータ形式がそろえば
作成日 2015年8月5日
作成ワーキンググループ 設備ライフサイクルマネジメント

現状と課題

生産設備は、10年から30年利用される場合がある。これに対して、生産ラインは製品のライフサイクルの短期化や工場の立地(国内、海外など)条件により、そのライフサイクルは数年未満である場合もある。つまり、設備のライフサイクルと生産ラインのライフサイクルはずれている。また、設備の構成要素となる装置や機器、コントローラなどのライフサイクルも同様に、設備全体のライフサイクルと異なる。
設備としての信頼性は、それを構成する構成要素がひとつでも問題が発生したら、たちまち低下する。したがって、設備の信頼性を維持するには、すべての構成要素のライフサイクルをあらかじめ知り、ある程度冗長な予防保全が必要となる。ただし、その設備が機能する期間、つまり生産ラインのライフサイクルによっては、設備全体ではなく、コアとなる一部の構成要素についてのみ重点管理することが必要な場合もある。
さらに、ハードウェアとともに、関連するソフトウェアについて、ドライバ関係、オペレーションシステムなどのコンフィグレーションの中で、個々のソフトウェアが個別にバージョンアップやサポート期限切れなどのイベントが五月雨式に発生する。生産ラインを構築した当時は正常に稼働していても、こうした個別の構成要素のライフサイクルが徐々にずれてくると、常に正常に稼働することを保障することが難しい。


解決手段

生産ラインまたは工場全体をひとつの製品または設備として見立てて、そのファクトリモデルの構造をBOM(Bill of Materials)として表記する。また、実際の設備は、サブモジュール、装置、機器、デバイス部品、コントローラなどの構成要素があり、それらもBOMとして記述する。
ラインの増設や廃棄、一部の設備の故障や部品交換、そして経年劣化におる交換など、構成要素が五月雨式にライフサイクルの期限が到来し、その都度、トラブルが発生しないように、こうしたライフサイクルをファクトリモデル上で管理し、必要に応じて、設備や機器の更新、償却、バージョン管理などを行い、資産管理、設備効率管理、保全管理などを統合的に行う。
設備や機器の構成管理は、一般的なひな形(設計上の構成)と、実際に生産ライン上に設置した構成とを分けて管理し、後者について、個々の事情にあわせたカスタマイズ、現場調整の結果を反映させておく。
さらに、日々の生産、運転フェーズにおいて、部品の交換、機器の修理、設備そのものの交換などがあった都度、その情報をデータとして記録し、ライフサイクル全般にわたり現実とデータ(サイバー上)との一致を図る。


目指す姿

生産設備を効果的に活用し、そのライフサイクルの中で、工場や生産ラインのさまざまな用途や目的に応じて自在に組み替えながら、トータルのコストパフォーマンスを向上させる。つまり、製品単位の原価管理、設備単位の費用対効果といった個別の管理とともに、工場全体や生産ラインとしてのKPIを用いて設備管理を行う。この際、不確実な将来の技術動向や市場動向をもパラメータに加え、最適な工場管理を実現する。
また、設備の信頼性向上のために、その構成要素となる機器やソフトウェアのライフサイクルを系統的に管理し、メンテナンス計画を設定する。特に、メーカー側がサービスパーツの製造中止、販売中止、そしてサポート中止といった時期をあらかじめ確認したうえで、長期的な操業計画、設備投資計画に反映させる。