業務シナリオ

データ連携による品質保証(不良原因の早期発見、未然防止)


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省略名 1201
状態 完了
カテゴリ 設備連携 (10001)
設備間でデータ形式がそろえば
作成日 2015年8月5日
作成ワーキンググループ データ連携による品質保証(不良原因の早期発見、未然防止)

現状と課題

・製造ラインにおいて製品不良が発生すると、その原因を特定し、対応策を実施・検証して、ラインを再開するまでに多大な時間とコストを要する場合があります。本ワーキンググループでは、上記のうち不良原因の特定に注目して、業務シナリオを作成しました。
・製造ラインにおいて不良が発生した場合、その原因特定には、製造部の製造現場を始めとして、品証部、調達部等の様々な部門が関連することになります。現状では、原因特定に必要な情報を、部門ごとに管理しており、一元管理していないケースが多くみられます。また製造部の班長が各工程に連絡して、必要な情報やデータを収集しているケースも多いです。
・データの形式が、部門ごとに、また同じ製造部門でも装置や工程ごとに統一されていないことも原因特定に時間がかかる原因の一つとなっています。品質を担保する手段として各種データを連携する仕組みを構築する場合、各部門や装置・工程のデータフォーマットや通信規格をどうするかが課題になります。
・上記のように時間とコストをかけて不良原因の特定に必要なデータを収集しても、不良原因とデータとの相関がすぐには判明しないケースもあります。複数のデータを必要とする複合的な要因も多く、同様の経験が少ないと原因特定が困難になります。例えば、加工に関する原因特定には、加工機メーカーと共同で行う必要があり、ユーザーだけでは難易度が高いことが多いです。一方、本当に原因特定に繋がる必要な製造データが取得できているか不明であるといった課題もあります。


解決手段

・解決には、以下の3つの業務シナリオ(To-Beシナリオ)があります。
【To-Beシナリオ①】不良が発生した際、各部門/各工程のデータを即座に見られる(不良原因の早期発見、原因特定要員の省人化)
これまでは部門ごとに保管・管理されていたデータを、クラウド等で一元管理します。また、これまでバラバラだったデータ形式を統一し、関連のあるデータどうしをひもづけます。そして経時的にデータを取得し、データベースに保管します。
上記により、これまでは製造部の班長が各工程に連絡して、必要な情報やデータを収集するためにかかっていた時間を短縮することが可能になります。

【To-Beシナリオ②】不良原因候補を優先度付でシステムが提示する(不良原因のさらなる早期発見、原因特定要員のさらなる省人化)

図1-2 『不良原因候補提案システム』の概念図(To-Be②)
To-Beシナリオ②では、To-Beシナリオ①において経時的に取得するデータ(特定された不良原因に関するデータを含みます)から、不良原因との相関を表すためのモデルを構築します。不良発生時には、そのモデルをもとに、『不良原因候補提案システム』が優先度付きで不良原因候補を提示します。班長は、提示された候補をもとに原因を特定します。それによりこれまでは、班長と各工程の技術者らが、各種のデータと不良の状況から複合的な原因を特定するのにかかっていた時間やコストを大幅に短縮することが可能となります。

【To-Beシナリオ③】不良や故障の予兆段階でシステムがアラートを提示する(不良の未然防止)
To-Beシナリオ①において経時的に取得するデータ(特定された不良原因に関するデータを含む)から、不良発生の予兆と各種経時データの相関を表すためのモデルを構築します。そのモデルに基づき、不良の予兆が発生した段階で『予兆監視システム』がアラートを提示します。それにより、班長はラインを停止することなく不良発生の原因となり得る箇所に対応することが可能になり、不良を未然防止することで装置のダウンタイムをなくすことが可能になります。


目指す姿

・これまでに不良原因の発見や対応にかかっていた時間や要員を大幅に削減することが可能になり、製造業の競争力(コスト、納期等)を飛躍的に高めます。
・被加工物(部品・材料)、加工装置の稼働条件や状況に関するデータが連携することにより、被加工物や装置ごとに最適な加工条件が提示され、加工精度が向上し、品質や歩留まりを飛躍的に向上します。
・高品質、低コスト、短納期がシステムによって保証されることで、サプライヤーはメーカーからの受注やこれまで取引がなかったメーカーからの引き合いが増え、メーカーは顧客からの製品の品質に対する信頼が増大して、販売量が増えるとともに、会社・製品のブランド力が向上します。
・高度な品質管理が要求されるケースであっても、顧客ニーズにマッチした高品質な生産が保証できるようになります。