業務シナリオ

ロボットを活用した中小企業の生産システム


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省略名 1204
状態 完了
カテゴリ 工程連携 (10002)
工程間でデータ形式がそろえば
作成日 2015年8月5日
作成ワーキンググループ ロボットを活用した中小企業の生産システム

現状と課題

 ロボットを核とした新たな産業革命が日本の成長戦略の中核として位置付けられ、現時点と比較して、2020年には製造業で市場規模を2倍(6000憶円→1.2兆円)、非製造業で20倍(600憶円→1.2兆円)とするとともに、労働生産性の伸びを2%以上とすることを目指した取り組み(ロボット新戦略)がスタートした。ロボットによる生産性の向上は、少子高齢化による生産年齢人口の減少による人手不足やグローバルな競争力の維持のためにも必要不可欠な課題である。
 これまでのロボットの活用の主たるフィールドは、自動車や電気電子分野等の大手企業が中心で、多種多様で非定型なプロセスの多い分野、人手に依存する中堅・中小製造業への普及はほとんど進んでおらず、それらの新たな分野への導入が進まない限り、更なる市場規模の増大を望むのは難しいといった現状がある。この現状を打破する取り組みの一つとして、これまでロボットによる生産には関心がなかった、関心はあってもどのように導入を進めていけば良いのかが分からない中堅、中小製造業が、新たなユーザとなってロボットを活用することで工場全体の生産性の向上につなげられるような環境や仕組みを整えることが必要となってくる。
 これまでロボットが導入されなかった生産現場への導入にあたっては、ロボットを導入する前段における費用対効果の検討から、周辺設備計画、ロボットメーカー毎に異なる操作・プログラミング方法の習得が必要となってくるため、特に生産技術部門を持たない企業の導入ハードルは決して低くはないといった現状がある。さらに、せっかくロボットを導入したとしても、生産技術に関する知識と経験の不足から、当初計画したとおりの運用が行えず、生産性の向上、コストの削減に至らないといった恐れがある。その結果、ロボットの導入が進まず、企業の生産性も向上しない。


解決手段

 3つのステップ(場面)に分けて解決する。
ステップ(場面)1:ロボット導入検討時におけるSIerによる導入支援の高度化。
導入支援するときに必要な情報をあらかじめ標準化しておく(例えば、作業の種類(ハンドリング、溶接、・・)、作業スピード、等)。そして過去の事例を業界共有のデータベース(デポジット)に蓄えておくことで、簡単に検索できる。また各社ロボットの電子カタログ(シミュレーションモデル、コストも含む)も含まれ、それを利用して、ロボット導入結果の効果見積もりが可能となる。そのとき、必要に応じてセルシミュレーション(事前検証ツール)を利用する。各SIerは共通の基本構成(ハードウェア構成だけではなく、ロボットプログラムなどのソフトウェアも含む)だけでは実現できない部分や、SIerの技術を盛り込むことで更に効果があげられるような部分を加えることで、より最適なロボット構成やセルを提案する。また、基本構成を再利用することで、費用面の圧縮が可能となる。

ステップ(場面)2:ロボットの動作教示(ティーチィング)の簡単化
ステップ1での事前導入検討で、生産性が上がると判断したら、実際に製造現場にロボットを設置して、実作業に応じたロボットの動作を実現するためのティーチングが必要となる。その場合、事前検討時のティーチングを参考(ベース)とすることで、現場で一からティーチングをする必要がなくなる。そして、そのためには、ロボット言語の標準化、作業の簡単化が必要となり、また、微調整が簡単にできるシステムでなくてはならない。そして、微調整した結果をデータベース等に蓄え学習することで、ティーチングの精度が上がり、微調整の度合いが徐々に少なくなる。

ステップ(場面)3:ロボットの実運用時のメンテナンス
実稼働時のデータに加え、チョコ停やエラーの発生状況をエンジニアリング会社やSIerが遠隔でモニタリングしたり、それらが自動的に配信されるようになっている。稼働状況をステップ1で検討した結果と照合し、もし、乖離・異常があれば、製造現場に連絡する。また、その結果を再利用できるように、データベースにて保存・解析する。


目指す姿

 生産技術部門を持たない中小企業でも、生産性を上げる手段として、SIerに依頼することで、簡単にロボット導入の有効性が検討できるようになる。そして、基本構成という共通の情報基盤を持つことで、業界全体としての効率化の推進に加え、新たなSIerの参入を促す。
 また、導入後の立ち上げもティーチングが簡略化されることで安価で、且つ短期間での導入が実現できる。また、その結果がデータベースに蓄えられることで、使えば使うほど、効率化されていき、多くの企業がこのエコシステムに参加する。
 もし異常があった際も、稼働情報が契約したSIerやエンジニリング会社と共有化がされているので、迅速な対応が可能である。