業務シナリオ

マザー工場の海外展開と知財管理


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省略名 1301
状態 完了
カテゴリ 設備連携 (10001)
設備間でデータ形式がそろえば
作成日 2015年8月5日
作成ワーキンググループ マザー工場の海外展開と知財管理

現状と課題

地産池消の考え方のもと、大手製造業は、消費地に近い場所で生産することで、個別のニーズへの対応、納入リードタイムの短縮化、そして現地労働者による生産コストの削減などを図っている。一方で、設計者、技術者の会社に対する帰属意識の低さや定着率などの点で、そうした生産技術やせノウハウが、流出、拡散することが否めなくなっており、さらに競争激化や円安による工場の撤退にともない、生産設備を含めて、技術の流出は避けられないものとなっている。
このようなビジネス環境の中で、グローバル化をさらに進めていくためには、オープン&クローズ戦略、つまり、隠すべきところはしっかり隠し、それ以外の部分は逆に積極的にオープン化し、自社技術を競合他社も含めて自由に利用してもらうという戦略が重要といわれている。ただし、現時点では、どの部分を隠し、どの部分をオープンにすべきか、言い換えれば、競争領域と協調領域の境界をどこに設定するかという具体的な指針はなく、個々の企業がそれぞれの判断で海外展開を図っているのが実態である。


解決手段

基本的なスタンスとして、オープンにすべきところを大胆に公開し、クローズとすべき部分をブラックボックス化するために、両者を明確に切り分ける必要がある。いわゆる競争領域と協調領域を切り分ける。競争力の源泉となる部分はブラックボックス化することになるが、非競争領域の部分、競争力の源泉とならない部分のみをオープンにしても、その内容は拡散しない。オープン化戦略(特に“伸び行く手”の戦略)は、自社の技術をあえてオープンにし、他社がそれを好んで使うことでその技術を広く拡散させることで、その分野のデファクトとし、そのプラットフォームの一部のみをクローズとする。つまり、あえて、競争力の源泉となる技術であっても、オープン化の対象とする部分が特徴となっている。
知財のブラックボックス化では、プラットフォームをコントロールするコアの部分、クリティカルな部分を一部抑えることで、支配力を維持することができる領域を選択する。知財として管理するためには、特許や意匠等でプロテクトする方法が一般的であるが、独占するのではなく、個別の契約ベースで解放し、プラットフォームのコントロールの主導権を握ることが望ましい。この際に、つなげるためのインタフェースのデザインが重要であり、個々のコンポーネントの内部のしくみをブラックボックス化しても、外部あるいは他のコンポーネント間での連携による機能を最大限活用できるしくみとする。
また、つなげるしくみの上では、各ブラックボックス化されたコンポーネントに対し、外部から動的に内容を変更できるように、内部データの構造を隠ぺいしたまま、通信ができるしくみが求められる。たとえば、外部からCNCのプログラムを暗号化して送った場合は、そのデータは、たとえ複合キーをもっていても、ユニークIDをもつ対象とする機械上でないと復号できないし、動かないといった対応である。


目指す姿

海外工場へ設備を移設した場合、その設備を稼働させるためのデータやノウハウも海外工場にもっていかなければならない。実際に生産技術者が、現地へ出向いて調整する場合はさておき、データを用いて遠隔で立ち上げる場合に、そのデータを知財として管理し、不正な利用や拡散を防ぐ。
ネットワーク化されたものづくりの場合は、装置を工藤する場合に、常にクラウド上のデータサーバーから一部のキーをダウンロードすることができるようにすれば、不正利用の防止になる。一方、設備や機械単位、つまりコンポーネントの内部のデータやレシピについてはこうした対応ができるが、設備間、工程の連携などについては、現地の管理システムにプロセス情報を送ってもよいが、そのもととなるロジックは、マザー工場側におき、サイバーフィジカルな環境のなかで、シミュレーションして毎回プロセスを決定する。プロセスを決定するロジックは、現地にはおかないため、ケースバイケースのデータは現地でみることができるが、状況がかわったら使えないデータとなる。