業務シナリオ

中小企業を中心とするつながる町工場


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省略名 1306
状態 完了
カテゴリ 工場連携 (10003)
工場間でデータ形式がそろえば
作成日 2015年8月5日
作成ワーキンググループ 中小企業試作ネットワーク

現状と課題

【2015.0821】
中小企業は独自の優れた技術を保有していても1社だけでの仕事には限界がある。複数企業が連携することで、従来は対応でいなかった仕事が可能となるケースがある。いわゆる、特定業界向け(例えば航空機や造船など)の共同体や特定地域での共同体の取組みである。これらの取組みにより、高付加価値なものづくりにシフトすることができる。
ただし、そのためには、ある程度の設計技術、問題解決あるいは加工方法の提案力などが要求され、長年の経験に裏付けられた町工場のおやじ的なキーパーソンが何人も必要となる。
また、詳細な加工技術や材料選定のノウハウがない発注者側としては、それぞれの加工専業者を個別にあたるよりは、ワンストップで依頼することができ、受注側で必要な工程の専業者を適宜アサインするほうが望ましい。最終的には、要求した機能と品質を確保したうえで、希望日にあわせて納入してくれることで、設計等にかかる工数も削減することができる。
こうした中小製造業のネットワークは、いくつかのトライアルはあるものの、参加者間での利害関係が対立する場合や、コーディネータとなる人財が不足しているなどの理由から、成功事例は少ない。Win-Winの関係を構築するには、ある程度、プロセスを共有し、生産スケジュールをリアルタイムに把握するなど、固定費の部分や間接費の部分を大幅に抑えることができるような仕掛けが必要となっている。さらに、情報共有も人づてに、電話、FAX、メール、Excelなどで行っており、効率も悪い部分があるが、これを解決するために中小企業でも安価に手軽に使える仕掛けが重要である。


解決手段

【2015.0821】
特別な加工法やノウハウを必要とする工程、あたらしい材料についての加工方法、製品技術には詳しいが、製造技術にはそうでない設計者のサポートなど、固有のノウハウをもった中小企業が、大手企業の試作などのサポートを行う。
この際に、目利きをする仲介者を含むネットワークによって、ワンストップでさまざまな加工要求や、製品としての機能要求を、具体的な材料、形状、加工方法などの提案とともに試作を実施する。最終的な製品を提供するとともに、その加工ノウハウは中小企業側に保有し、ビジネスモデルとする。
製造技術に詳しい職場に、加工技術(こんなことできるの?)に詳しい人が中小企業にいる。ただし、こうした職人的な技術者に、その都度加工のノウハウについて判断してもらうためには、IT技術で付帯的なデータ、図面、過去の事例や不具合などを必要に応じて提示、検索でき、SNS的なコミュニケーションを通じてノウハウを提示し、さらに、そうしたノウハウを社内の他者がトレースできるようにしなければならない。
また、技術情報だけでなく実績情報やスケジュールなど1つの仕事を共同で実施するために共有すべき情報が必要な人(例えば発注者であっても)とは共有できるようにしなえればならない。
個社ではなく、共同体で受注ができるような仕掛けが必要である。そのためには対外的な技術アピールや提案をタイムリーに簡単に発信できるようにしなければならない。


目指す姿

【2015.0821】
つながる工場で考える共同体としては、同業種(異分野)だけでなく、異業種、サプライヤー、取引先も含めた共同体を目指す。
それぞれ専門分野、加工領域が異なるメンバー構成の場合、それぞれの企業の規模は小さくてもフルラインで加工設備がそろい、競争力が増す(大企業の別工業群のような形態)。また、複数の加工プロセスにまたがる場合など、工程管理、品質管理を工夫することで大企業と匹敵する一連の処理が可能となる。さらに、共同体の中で需要変動に応じた生産の変動への対応も可能とし、柔軟性のある生産、及び、ICTツール群の導入後の環境変化に適応できるメンテナンス体制に対応する。