業務シナリオ

サイバーフィジカルな生産&物流連携


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省略名 1309
状態 完了
カテゴリ 設備連携 (10001)
設備間でデータ形式がそろえば
作成日 2015年8月5日
作成ワーキンググループ サイバーフィジカルな生産&物流連携

現状と課題

<修正版>
ITがどれだけ進歩しても、モノを物理的に加工し運搬する部分はなくならない。物理的なモノの移動、人の移動をいかに効率的に設計し、企業単位ではなく、企業をこえたバリューチェーン全体で最適化するかによって、環境負荷の低減や、トータルな社会的効用の増加につながるはずである。工場を国内、海外のどこに配置するかという問題もあるが、国内、海外に点在した工場や物流拠点、そして消費地間で、いかに効率的にモノを移動させるかについて、ITを活用した取り組みの効果が期待できる。
最近は、国内/国際物流を問わず共同物流(サードパーティーロジスティクス)の取り組みが進んでいる。しかし、各企業の生産計画、生産管理のしくみと、物流業者のシステムが統合、連携している例は巨大資本を有した企業の数例に限られている。国際物流の場合は船の手配、船の入港、出港日程管理、港での荷済み、荷下ろし、通関手続き、保税倉庫、港倉庫での検品や移動など、国際物流業者がもつリアルタイムな情報は、国内の工場からは確認することができないため、海外とのバリューチェーンの連携が非効率なものとなっている。


解決手段

<修正版>
生産プロセスでは、モノを加工、組み立てによって、形状や機能が、プロセスの実施前と後で変換する。輸送プロセスでは、モノそのものの機能は変化しないが、荷姿やロット数などの形態および物理的、地理的な位置と格納方法、保管方法、そして管理主体や所有者が変化する。物流の視点からサプライチェーンを見たときに、加工をともなわないケースは管理がしやすいが、工場を介して、原材料から部品、あるいは部品から製品といった入口と出口でモノの変化が伴う場合には、そのトレースが難しい。一方、メーカーの側からすれば、出荷した製品が、確かにお客様に納入され、検収されたことを、リアルタイムで知ることが難しく、後日受領書や検収書が経理上の処理に付随して送られる。
メーカーの出荷管理システムと、物流業者の基幹システムが連携することで、こうしたメーカー間をつなぐモノと情報とお金の流れがよりリアルタイムに近づく。実際に輸送、配送した実績のモニタリングだけでなく、事前の計画、直前の配送計画や便の手配などを、物流業者とメーカーがダイレクトに連携することで、最適な積載効率でぎりぎりまで引きつけて計画手配ができるようになる。メーカーからすれば、特急オーダや直前の予定変更などでも対応できる安心感があり、物流側では、そうした事前の手配方法にあわせた価格設定、サービスメニューの充実がはかれる。
国際物流についていえば、それぞれの国の陸運業者、2国間をつなぐ海運業者、そしてメーカーとサプライヤーという5社が連なってモノと情報のバケツリレーをすることになり、さらに、荷済み、荷下ろしなどの港内作業、倉庫への一時保管などの担当業者が異なる場合など、トレーサビリティの確保は難しくなる。多品種少量生産の場合には、在庫は持てないので、メーカー側にジャストインタイムで部材を届けるには、そうしたさまざまな企業間の業務をデータのレベルで連携させる必要がある。またキャッシュフローを追求する上では、どの様な企業でも適正な在庫量を維持する必要があり、サプライチェーン全体での在庫量の可視化は、更に重要な課題となる。
B2Bの物流、とくにメーカーとサプライヤーをつなぐ物流は、ジャストインタイム物流が地理的、コスト的、環境負荷的にむずかしくなった。それでも、共同物流のために異なる業者が協業することで、調達リードタイムで実現可能な場合もある。例えば、定期便、巡回便などの座席を設定し、座席予約をするかたちで、積載効率をあげる。座席予約のしくみと各工場の生産管理、日程管理がダイレクトに連動し、自動予約できるようにする。一方で、コストや市場要求の制約により、物流の中間点に在庫を置いて適正管理し、素早く最終形態にして製品供給する、受注組立化なども解決策の一つとなる。どちらにしても、国際物流、船便、航空便などの荷物のモニタリング、保税倉庫、通関、国内物流との連携、トレーサビリティ、タリフ管理など必要な情報要素は変わらない。
上記3物流では、管理するための識別子(部品名、製品名、シリアル番号、ロット番号、オーダ番号、インボイス番号、B/Lなど)があり、それらの物流管理ポイントで通過イベントとして記録し、利用したい情報(トレースや在庫量など)に加工すれば課題解決の一方法となる。そのためには、識別子を情報システム側に取り込むための媒体(バーコード/QRコード/RFID/Beaconなど)を有効に活用する必要がある。最近はRFIDのコストも下がり、信頼性も高くなり、グローバルな標準化も進んだ。識別子の情報を、これらの媒体の特性に合わせて活用することで正確な情物一致も可能である。
上記識別子の階層構造も、EPCglobalの規格の中で定義されており、メーカー側構内物流の中でのシリアル番号レベルの詳細な識別子と、調達物流や出荷物流の中での梱包/コンテナレベルの識別子の階層情報が必要なポイントで記録されれば必要なレベルでのモニタリングは実現可能である。
配送業者は標準化された物流情報(EDIFACTなど)を活用しており、それとメーカー内の基幹システムの階層化された識別子情報を連携させる必要がある。


目指す姿

<修正版>
メーカーやサプライヤーの情報システムと、物流メーカー、運輸企業、配送企業のシステムが緩やかに連携する。それぞれのシステムは個々に独立しており、相互に互換性はないが、自社に関連するデータのみが、相手側のシステムから提供され、それがリアルタイムで構成されていく。また、運輸業者の配送計画システムの一部が開放され、特定の枠について、その中で自社のシステムの一部といて自由に割り振るような環境が提供される。物流企業は、さまざまなメーカーやサプライヤーの輸送要求を集め、効率的な輸送計画を実行するとともに、メーカー個別のきめ細かなサービスにも対応する。
複数の物流業者間の連携、全国ネットの物流業者と地域の業者との連携などをはかるためのプラットフォーム上で、トラックや運転者の手配、労働環境の管理、市場や物流センターを介したモノのトラッキング、メーカー在庫、倉庫在庫、日をまたぐトラック内在庫などの管理、流通加工、検査代行、荷役管理などのワンストップサービスなど。
国際物流では、荷物単位でのトレースを行い、時間単位でステータスを更新できるようになる。船便、航空便のスケジュールと連動し、特に、欠航、出港、入港予定日の変更、荷物、コンテナ、そして便の対応関係の紐づけ管理。
更に物流システム側は、物流在庫ポイントでの在庫量情報などをメーカー側に提供し、キャッシュフローを適正化するためのSCM高度化に活用してもらう。