業務シナリオ

工程情報と製造ノウハウのデジタル化


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省略名 2A01
状態 完了
カテゴリ 工程連携 (10002)
工程間でデータ形式がそろえば
作成日 2016年6月15日
作成ワーキンググループ 工程情報と製造ノウハウのデジタル化

現状と課題

工場間/企業間の情報伝達において、設計要件は、製品(部品)図面によって表現されるが、製造(組立・加工)要件をデジタル的に伝達する手段は、各社各様であり、工程フロー・QC工程表・作業指示票などがあるものの、緩やかな標準すら実現されていない。
 それ故に、企業間(特にメーカー→協力工場)で製造要件を確実に伝達するためには、設計要件の伝達手段である【図面】に製造要件を書き込むか、工程(品質)検討会と称するオフラインでの摺合せを実施し、文書化しているのが実際である。
しかしながら、そうして文書化された資料は、特に口語体での記述が多いことなどから、要件の再生産性が極めて低くなってしまう。
また、その製造要件の成立状況のレビューも治験者(ベテラン)の技量に依存しているのが現実であり、各社チェックリスト、標準文書、手順書などでナレッジ管理は実施しているものの、活用実態はかなり低い状況にある。


解決手段

 製造要件のデジタル化、各社各様の現場への伝達手段の構築、企業間の緩やか連携に向け、BOP(Bill Of Process)という考え方を、日本の製造業流にアレンジすることで実現する。
 BOPを活用し、製造要件レビューをある程度の確度で自動的(自働的)に実施するシステムを実現する。ものつくり経験者が高齢化する中で、ナレッジをデジタル化し(特に協調領域において)企業間で共有できる仕掛けを構築する。
具体的には以下のような手段での解決を図る。
①統一製造要件モデル作成システムの構築(BOP Creater)
日本の製造業の現場で使われているEXCELなどの製造指示ドキュメントから、自動的にBOP化するシステムを構築する。BOP化の際には、文言の揺らぎを取り除き、標準化文言に統一することで多言語化・自動機指令言語化をスムーズに行えるようにする。多様な規模、形態の企業がBOP基準の運用に参加できるよう、BOPを見るだけの安価なViewerの提供や、BOPの全情報が記載されたEXCELファイルでの提供なども検討する。
②製造要件の自動ベテラン検図システム(BOP Checker)
作成されたBOPを協調領域・競争領域両面で自動検図し、結果をBOPにフィードバックするシステムを構築する。
・協調領域ではJIS、ISO、IEEE、QS等の規格に準拠しているかの検図を自動的に行う
・競争領域では各社標準やベテランのノウハウを数式化し、各社独自の検図を自動的に行う
③AIによるBOP Creater、Checker機能の高精度化
大量のデータから学習したBOP化AIエンジン、検図AIエンジンで、より良いBOPの作成や検図、これまで考え付かなかったBOPの作成や検図を実現する。AIエンジンの学習の基本となるデータは、初期段階では帳票からのテキストが中心となるが、画像、動画、音声などへの拡張も検討する。
④BOPモデルのマシン言語化
完成したBOPは、現場が手作業の場合、作業指示書など人が理解できる形式で出力されるが、自動機(ロボットなど)にはオフラインティーチング/CAMなど、それぞれの機器に合わせた出力が必要となる。
本システムで作成されたBOPは、標準化された文言、構成で成り立っており、この情報をロボットのティーチングデータやビジョンセンサーのパターンに当てはめることで、自動機指令言語への自動変換を実現する。
これにより、ノウハウを持った人間の作業に近い自動機の動きがBOPから自動作成できる。


目指す姿

 BOPで表現できる製造要件を明確化し、企業間連携で活用する【協調領域】と、各企業の製造力を実現する【競争領域】を表現(実現)できるようにすることで、以下のような環境を構築する。
・企業間において製造要件が確実に伝達できる緩やかな製造要件モデル(BOP)を構築し、日本の製造業の強みを生かしながらの水平統合を実現する。
・日本の製造業において高品質なものづくりを実現してきたベテランのノウハウを、AI(人工知能)を活用することでBOP化および検図のプロセスに落とし込む。これにより国際競争力の高いBOP作成を可能にし、日本の製造業を強くする。