【プレスリリース】CFP算出と共有に関するホワイトペーパーを公開とカーボンニュートラルのためのデータ連携サービスを開始

インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(理事長 西岡 靖之 博士(工学)、法政大学教授、以下IVI)は、製造業が連携してカーボンニュートラルへ向けた取り組みを加速させるために、カーボンフットプリント(CFP)の算出と共有に関するホワイトペーパーをまとめ、2024年3月14日に開催するIVI公開シンポジウムにて公開します。また、そこで示す内容に基づいて実際にCFPを企業間で交換する手段として、「CTNS(トラストなカーボンチェーン・ネットワークサービス)」を構築し2024年4月から運用を開始します。

公開するホワイトペーパーでは、特に加工組立型の製造業におけるCFPの算出方法を標準化し、中小企業でも容易に始めることができる手法を示すとともに、算出したCFPをコネイン連携基盤CIOF(注1)上で共有するための方法がまとめられています。CTNSでは、国際標準であるGHGプロトコルに準拠して製品単位のCO2排出量(CFP)を算出し、そこで得られたCFPデータを取引先との間でトラストに共有します。CTNSの主な特徴は以下となります。

  1. これまではその手順がばらばらで複雑だったCFPの算出方法を、対象期間における設備CO2排出量を集計する方法で共通化し、工場から得られる最小限の一次データと、シンプルで分かりやすい手順を用いて統一的に算出することを可能としました。
  2. CFPの算出プロセスを第三者であるCTNSが認証することで、取引先に提示したCFPの算出根拠となる1次データを取引先に開示することなく、その正当性を示すことができます。これにより、データ開示にともなう不公正な取引を未然に防止します。
  3. 同時にIVIが販売を開始するCN-IoTキット(注2)を用いることで、中小製造業でも簡単に設備ごとの稼働データが自動取得でき、設備のCO2データをリアルタイムで監視することで生産現場のボトムアップなCO2削減にも活用できます。

これまで、事業者単位でのCO2排出量を算出することは比較的容易でしたが、事業者内で実際に消費したエネルギー(スコープ1と2)と、調達した原材料に起因するCO2排出量(スコープ3)とを合算し、出荷する製品単位でのCO2排出量を算出するには、大規模な情報システム投資が必要でした。新たに開発したCTNSは、大企業だけでなく、中小企業もスモールスタートでカーボンニュートラルへの取組みを始めることを可能とします。

また、特に製造業は、取引先に提示するCFPについて、その算出根拠となる工場内部の設備稼働データは、自社のノウハウとして容易に開示できません。これに対して、CTNSでは、CIOF(注1)により、必要以上のデータ開示することなくCFPに関するトラストなデータ連携を可能としました。

CTNSの利用料金は、2024年度は無料、2025年度以降は利用状況に応じて月額1万円からのサブスクリプション提供となります(注3)。すでに実証実験としてIVI会員企業を中心に大企業2社、中小企業3社で部分的に導入しており、今後2024年度に50事業者、2030年までには20,000事業者の導入を目指します。

(注1)コネイン連携基盤(CIOF)とは、2017年度に経済産業省が提唱したコネクテッドインダストリーズの概念を、ものづくり・ロボティクス分野で具体化するための補助事業によって開発された企業間データ連携基盤です。工場から得られる設備稼働データや品質管理データなどを取引先との2者間でトラストに共有するためデータ連携サーバ、データ連携マネージャ、そしてデータ連携ターミナルで構成されています。

(注2)CN-IoTキットとは、中小製造業が手軽にカーボンニュートラルへの取組みを始めるために10万円以下の価格で購入できるIoTキットです。クランプ式の電流センサーと小型コンピュータ(ラズベリーパイ)、およびクラウド上で設備稼働データを共有するためのソフトウェで構成されます。CTNSにおけるCO2計測用としてのみでなく、生産現場の見える化ツールとしても活用できます。販売についてはIVI事務局まで問い合わせください。

(注3)システムの開発および保守は、株式会社アプストウェブ(東京都千代田区 代表取締役 西岡 靖之)が担当します。アプストウェブ社は、中小製造業の業務アプリを、ノーコード開発ツールContexerを用いて製造業自身で構築するサービスを提供しており、CTNSを社内の業務システムとつなげるための支援も合わせて行います。

インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)とは  

IoT 時代におけるものづくりと IT の融合によって可能となる“つながる”ものづくりを、“ゆるやかな標準”というコンセプトをもとに実現することを目的として 2015 年 6 月 18 日に設立された製造業を中心としたフォーラムです。IHI、オムロン、神戸製鋼所、今野製作所、CKD、東芝、日本電気、パナソニック、日立製作所、ブラザー工業、武州工業、富士通、ベッコフオートメーション、マツダ、三菱電機、安川電機など国内外で 203社・団体、637名(2024年1月時点)が参加しています。

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インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ 事務局(担当:鎌田正雄)
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