【プレスリリース】製造業PLMの共通モデルの国際化へ向けた取組をスタート

一般社団法人インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(理事長 西岡靖之 法政大学教授、以下IVI)は、国内のPLM開発企業らとともに、製品ライフサイクル管理(PLM)を製造業全体に拡張した「製造業PLM」の共通モデルを作成し、国際標準として提案する活動をスタートします。

PLMは、製品開発のサイクル全体を対象とし、その企画から設計、生産準備、そして工場での量産に至るまで、生産プロセスも含めて統合的に管理します。しかし、製品のモデルを起点として作成された現在のPLMのモデルは、多くの場合、そのまま生産管理システムやERPで利用することはできませんでした。

この問題を解決するために、製品のモデルに工場での生産方法を加味したBOP(工程表)モデルが注目されています。ただし、実際の工場の設備や生産ライン、そして治工具など、BOPで必要な情報は個別性が高く、それらをデジタルデータとして常に現実と対応づけて管理することは困難です。
そこで、工場における生産技術に多くの知見をもつIVIでは、“ゆるやかな標準”のコンセプトに基づいて生産側の情報をBOA(設備構成表)モデルで統一的に表現し、これをBOPとともに製品のモデルと関係づけることで製造業PLMを実現させます。(下記図参照)

 

製造業PLMにより、市場の急速な変化についていけない、設計情報や資産が再利用できていない、生産設備やラインの投資対効果が見えない、製品や工程のバリエーションが多く生産性が上がらない、といった経営課題が解決し、製造業におけるDXが大きく前進します。
仕様を作成するタスクフォースは、NEC、電通総研、図研、ビジネスエンジニアリングなどソリューション側企業が進めるとともに、マツダ、ブラザー工業など、ユーザ側企業も、共通モデルの仕様勧告プロセスに参加します。タスクフォースは、2026年の3月までに共通モデルをまとめ、第4次産業革命の第二幕を担う日本からの国際標準として提案する予定です。
※本件に関しては、6月12日に開催予定のIVI設立10周年記念イベントにて、その内容を説明する予定です。

【IVI設立10周年記念イベント 案内ページ】
https://iv-i.org/2025/05/12/10th-anniversary-event/

西岡靖之(IVI理事長)のコメント:
製品開発のスピードを速めるだけでなく、市場環境に応じて新規開発や撤収の時期をコントロールするには、設計部門と生産技術部門との情報の共有が鍵となります。特に工場側の情報を整理し、データによる連携を可能とするために、IVIがこれまで10年間で培ったユースケースと“ゆるやかな標準”というコンセプトは、こうした新たな挑戦に大いに役立つと期待しています。


■インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)とは
IoT 時代におけるものづくりと IT の融合によって可能となる“つながる”ものづくりを、“ゆるやかな標準”というコンセプトをもとに実現することを目的として2015年6月に設立された製造業を中心としたフォーラムです。オムロン、鴻池運輸、神戸製鋼所、今野製作所、CKD、東芝、日本電気、パナソニックホールディングス、日立製作所、ブラザー工業、武州工業、ベッコフオートメーション、マツダ、三菱電機、安川電機など国内外で192社・団体、595名(2025年3月31日時点)が参加しています。


■ゆるやかな標準とは
ゆるやかな標準とは、企業や部門が相互に連携するために、業務やソフトウェアで独自に用いている用語や手順を共通化するための標準です。ゆるやかな標準の策定にあたっては、あらかじめすべてを決めるのではなく、共通化できるところから順に標準に追加し、ボトムアップに標準を成長させていきます。企業の独自性を認めながらも協調領域を拡大し進化していく点が特徴です。

 <本件に関するお問い合わせ先>
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インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ 事務局
(担当:鎌田正雄)
TEL:03-6272-6021 FAX:03-6272-6023
電子メール:office@iv-i.org
ホームページ:http://iv-i.org/  

<報道機関からのお問い合わせ先>
IVI 事務局 担当:鎌田正雄
電子メール:office@iv-i.org