「つながる工場」インタビュー

以下のインタビューは、経済産業省広報誌 『METI Journal』2015年4・5月号の第1特集 「インダストリー4.0」の取材における「“つながる工場”の必要性」や、「中小企業における導入事例」「日本のものづくりが目指すべき方向性」などについての質問事項と、その回答を収録したものです。

(インタビュー回答者:法政大学デザイン工学部システムデザイン学科 西岡靖之)


【1】 近年、注目されているキーワード「つながる工場」。日本のものづくりは、いま、どのような転換期を迎えていると思われますか。また、その背景には、いかなるニーズや、社会構造の変化があるのでしょうか。

新興国の急激な発展による市場の拡大と同時並行で、消費者のニーズの多様化や、技術進歩の不確実性がますます顕著になりました。これにより、中小企業のみでなく、大手の製造業であっても単独では生き残れない時代となりました。また、製品のデジタル化、ソフトウェア化とともに、生産プロセスのデジタル化、ソフトウェア化が急速に進んでいます。さらに、製造業とサービス業の境界もかぎりなくなくなりつつあるというのが現状です。

こうしたなかで、必然的に、個々の要素技術による競争力とあわせて、サプライチェーンやエンジニアリングチェーンによって他の企業と“つながるチカラ”が重要となってきています。要素技術はそれほど変わらなくても、つながり方が変わるだけで、新しい革新的な製品やサービスが生まれる場合があるからです。この傾向は、設計プロセスや生産プロセスがデジタル化、ソフトウェア化することでさらに加速し、劇的なものとなるでしょう。

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