インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ（理事長 西岡 靖之 工学博士、以下IVI）は、2022年6月9日にIVIつながるものづくりアワード2022の審査結果を発表しました。2021年度に活動した17の業務シナリオワーキンググループ（ＷＧ）の中から「鍛造プレス機のインプロセス管理：株式会社ニチダイ」の最優秀賞受賞が決定しました。2021年度は、シンポジウムや一部会合ではリアルでの開催をいたしましたが、コロナ収束にいたらなかったこともあり、多くの活動がオンライン開催となりました。その中でも「カーボンニュートラル」をテーマに取り組んだグループや企業間でのデータ連携の実証をしたWGなど多岐にわたる活動となりました。
また、今年は最優秀賞・優秀賞・に加え、「IVI公開シンポジウム2022-Spring-」で最も関心を集めた「プレゼンテーション賞」や「特別賞」、「技術賞」を設け、計6グループが受賞いたしました。受賞理由については、以下の通りです。
<IVI つながるものづくりアワード 2022 選考結果>
【最優秀賞】7D02
「鍛造プレス機のインプロセス管理」
実施企業：ニチダイ 他
受賞理由：鍛造という、製造技術の中でも「見える化」がとても難しいテーマに取り組み、複数のセンサーによる多面的なアプローチを実施した。複雑な因果関係を持ったデータを見やすくわかりやすく解析している部分にも創意と工夫があった。この活動は、今後もさらに発展していくと期待でき、最優秀賞にふさわしい成果と認められる。
【優秀賞】7C02
「人・モノの実績可視化Ⅳ(次世代IE追究)」
実施企業：マツダ 他
受賞理由：物流現場での改善テーマとして継続して進めており、カメラとAIによる動画分析からの「見える化」から、課題の改善活動をPDCAでまわした結果をタイムリーに判断する。高効率な作業の効率化を可能にするために脱属人化を目指した内容で、人の勘/コツ/経験に頼らない、平準化した作業が可能になることを実証したことが評価できる。
【優秀賞】7B03
「設備のダイナミックケーパビリティの向上」
実施企業：テービーテック 他
受賞理由：異なる仕様の設備機器情報を標準化において、設備、センサーの追加に追従するのに多くの工数及びコストがかかる。対象とした業務シナリオでは、この工数削減に大きく寄与し、実際の設備への実装の期待がとても高いことが評価できる。
【特別賞】7E02
「企業間データ流通のマネタイズモデル」
実施企業：神戸製鋼所 他
受賞理由：カーボンニュートラルにおける新しい取り組みを示し、中小企業に導入しやすいシステムを提案した。特にマネタイズ視点での工夫が見られCO2排出量のデータを取り扱うなど難しい実証が行えたことが評価できる。
【技術賞】7E03
「中小製造業が安価にできるデータ連携」
実施企業：荏原製作所 他
受賞理由：CIOF活用を中小企業視点で取り組み、企業間のデータ連携を実証した。とても素晴らしい取り組みといえる。また、スマートシンキングに対応した新技術や連携技術などの取組に積極的である点も合わせて評価できる。
【プレゼンテーション賞】7A03
「シリンダーヘッド鋳造用砂型の品質管理」
実施企業：三菱電機 他
受賞理由：IoTの難度の高い対象(鋳造)に取り組み、つながる製造業のカーボンニュートラルに向けて可視化、モデル化など高度な技術を駆使した実証実験とその分析を行った。要素要因を管理しているのに不良が減らない原因を、数値化することで精度を向上するアプローチが評価できる。量産工程での原因調査手法としての成果が期待できる。
【総評】IVI理事長 西岡 靖之
コロナ禍での行動制限に加え、グローバルなサプライチェーンの混乱の中で、製造業のデジタル化が正念場を迎えています。本年度のIVIつながるものづくりアワードは、もはや定着したオンラインとリアルの融合環境の中で、どうやったら付加価値を最大化できるかというテーマに対して、きわめて現実的な制約の中で着実に成果を出す日本の製造業の力強さを感じさせる内容でした。また、今年度より、企業間のつながりを支援するCIOF（企業間オープン連携プラットフォーム）の適用事例や、カーボンニュートラルをテーマとした斬新な取り組みもはじまり、さらにこれからの展開が期待できる内容でした。
■インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ（IVI）とは
IoT 時代におけるものづくりと IT の融合によって可能となる“つながる”ものづくりを、“ゆるやかな標準”というコンセプトをもとに実現することを目的として 2015 年 6 月 18 日に設立された製造 業を中心としたフォーラムです。IHI、オムロン、川崎重工業、神戸製鋼所、今野製作所、ＣＫＤ、ジェイテクト、東芝、ニコン、日本電気、パナソニック、日立、ブラザー工業、武州工業、富士通、ベッコフオートメーション、マツダ、三菱電機、安川電機など国内外で 227社・団体、654名が参加しています。
（正会員：大企業69社、中小企業76社、サポート会員：大企業20社、中小企業46社、実装会員：7社、賛助会員：9団体、2022年5月26日現在）
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インダストリアル・バリューチェーン・イニシアチブ 事務局（担当：鎌田正雄）
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＜報道機関からのお問い合わせ先＞
IVI 事務局 担当：鎌田正雄
電子メール：office@iv-i.org
