インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(理事長 西岡 靖之 工学博士、以下IVI)は、2025年6月12日にIVIつながるものづくりアワード2025の審査結果を発表しました。2024年度に活動した12の業務シナリオワーキンググループ(WG)の中から「”人作業のミスゼロ化”への挑戦~ 生成AI活用可能性の探求~:ファシリテーター、マツダ株式会社」の最優秀賞受賞が決定しました。2024年度のWG活動はリアルな現場とオンラインを組み合わせたハイブリッドな形で実施されました。最優秀賞を受賞したグループでは、熟練人手作業を残しつつ、最新の撮像技術や生成AIを活用して高品質自動化を目指す取り組みが高く評価されました。
受賞グループおよび受賞理由については、以下の通りです。
<IVI つながるものづくりアワード 2025 選考結果>
【最優秀賞】10C03
「”人作業のミスゼロ化”への挑戦~ 生成AI活用可能性の探求~」
参加企業:マツダ、ヤマザキマザック、日本マイクロソフト、ビジネスエンジニアリング、いすゞ自動車、コニカミノルタ、ディー・オー・エス、日本精工、パナソニックインダストリー、ヒロテック、ブロードリーフ、BIPROGY、CKD、NTTコミュニケーショズ、YKK AP
受賞理由:自動車エンジンのベアリング取付工程における熟練人手作業を残しつつ、最新の撮像技術や生成AIを活用して高品質自動化を目指す取り組みが評価されている。生成AIによる画像・動画分析の適用は先進的であり、プロンプト設計による精度改善が進められているが、AI判定の精度向上と安定性が課題。ステップバイステップでの検証や「気づきと考察」の共有が有益で、技術的ポテンシャルは高いが、社会実装へのハードルが高い。今後の継続的な挑戦と進化に期待が寄せられている。
(表彰式の様子、右から西岡靖之理事長、10C03ファシリテーターのマツダ 森 尊道氏)
【優秀賞】10B04
「製造・倉庫・運送の企業間情報共有によるロジスティクス効率化」
参加企業:鴻池運輸、神戸製作所、メイラ、横河デジタル
受賞理由:自動車量産で定着しているカンバンシステムが、ファスナー類の端数出荷問題を抱えていることが明らかになり、最新の物流シミュレーションを用いて経営者や関係者の巻き込みを図る取り組みが評価されている。シミュレーションの可視化により現場と経営層の認識統一が進み、改善提案が促進されたが、モデル構築時間の長さと運用効率に課題が残る。物流2024年問題への対応やサプライチェーン戦略としての有効性が期待され、デジタルツインの有効性も確認された。今後はデータ共通化やモデリング効率化による広範な応用が期待される。
【優秀賞】10D02
「プラント施設運転保全業務のCPPS化革新」
参加企業:マツダ、鴻池運輸、神戸製鋼所、パナソニックコネクト、シーイーシー
受賞理由:「プラント保全のCPPS化」と題された取り組みは、自家発電ボイラプラントの水質管理業務の可視化を目指し、データ活用による業務負荷削減や薬品注入量のモデル化に成功した。既存技術の組み合わせが中心で新規性は限定的だが、実務適用効果は高い。取水段階までのデータ積み上げやノウハウの定量化が評価される一方、他の大規模事例との比較やデータガバナンスの整備が必要。季節性や従来の判断基準の見直しも含め、今後の自動注入やモデル精度向上に期待が寄せられている
【特別賞(殿堂入り)】10E02
「カーボントレーサビリティ実現と新価値創出」
参加企業:マツダ、神戸製鋼所、三菱電機、ヨシワ工業、ケー・ティー・システム、ブラザー工業、錦正工業、日本電気、日立ソリューションズ、富士通、ITコーディネータ協会、ケイ・エス・アイ研究所
受賞理由:製造業サプライチェーンにおけるカーボントレーサビリティ実現に向け、自動車・機械組立業と部品業が企業の垣根を越えて取り組んでいる。CIOF連携による企業間データ流通やCO2排出量の同時計算が実現され、技術完成度と実務適用性が高い。手入力作業の簡素化やシステムの完全自動化が今後の課題。IVIの活動実績を活かし、グローバルスタンダードを目指す取り組みが評価されており、業界標準形成への貢献が期待される。
※本WGはIVIつながるものづくりアワード2023・2024で最優秀賞を受賞した継続WGとなり、今回も高い評価を受けたため、特別賞(殿堂入り)となりました。
【入賞(先進技術賞)】10B01
「センシング利活用による予知保全」
参加企業:ミスズ工業、ニチダイ、ダイキン工業、東京情報デザイン専門職大学、長野県工業技術総合センター神戸製鋼所、電業社機械製作所
受賞理由:高速プレス部品量産における予知保全技術の取り組みは、AEセンサの適用やデータ処理の高速化、AIによる異常判定など多岐にわたる。技術の深化と低コスト化が評価される一方で、アルゴリズムの精度や安定性、費用対効果の明確化が課題として残る。再現性や他設備への展開も考慮されており、今後の実用化と普及に期待が寄せられている。現場実装の推進とともに、技術の安定運用と費用対効果の明確化が社会実装の鍵となる。
【入賞(未来賞)】10E01
「中小企業でも出来るメタバースによる働き方改革」
参加企業:DPMSs、イトウプリント、レイマック、エーディーエステック、華為技術日本、安川電機、日本ヒューレット・パッカード、ニコン、CKD、たけびし、日進ProSOL、MIRAI
受賞理由:メタルマスク業界が在宅勤務を可能にするメタバース技術の導入に挑戦している。高度な光学検査装置とメタバースツールの両立が課題だが、多様なメタバース技術の試行やGenerative AIの活用が評価される。中小企業の働き方改革としての効果や遠隔操作の実績が求められる。具体的なユースケースや費用対効果の提示が不足しており、社会実装への道筋は不透明。利用者の意欲を引き出すことが重要で、今後の取り組み内容や課題の明確化に期待が寄せられている。
なお、本アワードで受賞したWGも含め2024年度に活動した業務シナリオWGの活動詳細をまとめた「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ2024 年度報告書 IVI 業務シナリオ集つながる!ものづくりのための12 のユースケース」を近日中に発売開始いたします。
■インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)とは
IoT 時代におけるものづくりと IT の融合によって可能となる“つながる”ものづくりを、“ゆるやかな標準”というコンセプトをもとに実現することを目的として2015年6月に設立された製造業を中心としたフォーラムです。オムロン、鴻池運輸、神戸製鋼所、今野製作所、CKD、東芝、日本電気、パナソニックホールディングス、日立製作所、ブラザー工業、武州工業、ベッコフオートメーション、マツダ、三菱電機、安川電機など国内外で192社・団体、595名(2025年3月31日時点)が参加しています。
<本件に関するお問い合わせ先>
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インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ 事務局(担当:鎌田正雄)
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IVI 事務局 担当:鎌田正雄
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