IVIが製造データ流通フレームワークを開発し公開

 IVIは、DMG森精機株式会社、株式会社日立製作所、ファナック株式会社、三菱電機株式会社とともに、製造データを管理する各社のプラットフォームを超えて、製造データが相互に流通することを可能とするフレームワークを開発しました。本事業は、日本政府が提唱する「ソサエティ5.0」および「コネクテッドインダストリーズ」を実現する取り組みである「製造プラットフォームオープン連携事業」として、産業データ共有促進事業費(平成29年度補正予算)補助金を経済産業省から受け実施ました。

 これまで、製造業では、秘密保持の理由から、IoT(モノのインターネット)で得られた稼働データなど、比較的付加価値の低いデータだけが、インターネットを介したデータ流通の対象でした。開発したフレームワークでは、加工プログラムの送受信(DMG森精機株式会社)、品質検査データの送受信(ファナック株式会社)、ロット検収データの送受信(三菱電機株式会社)などを、個別のデータ取引契約と対応づけ、相手を特定した通信を行うことで信頼性を向上した点が特徴です。また、フレームワークの一部として、株式会社日立製作所は、それぞれの製造業の現場で、それぞれ異なる言語を変換するための辞書サーバーを開発し、製造業の現場が、日々使っている用語や業務プロセスをできるだけ変えずにデータ流通に参加できるようにした点も特徴です。

 開発したデータ流通のためのしくみの普及を図るために、IVIは、コネクテッド・インダストリーズ・オープン・フレームワーク(CIOF)として、その技術仕様とソースコードをインターネット上で公開しました。技術を公開することで、製造分野におけるデータ流通を担うIT企業の参入を促し、さらなる信頼性と利便性を高め、新たなエコシステムとして活動を発展させていく予定です。IVIは、すでにドイツのインターナショナル・データ・スペース・アソシエーション(IDSA)および中国のアライアンス・インダストリアル・インターネット(AII)とMoUを締結し、製造業のデジタル化を国際的な協調作業の中で推進していくことで合意しています。この度開発したフレームワークは、来月4月1日に、ドイツで開催されるハノーバーメッセにおいて発表する予定です。

 開発したプロトタイプとともに設定した3つのユースケース(実証実験)の内容は、3月14日に都内で開催されるIVI公開シンポジウムにて発表いたします。実証実験では、東芝デジタルソリューションズ株式会社、富士通株式会社、日本電気株式会社が、それぞれ連携パートナーとして協力し、製造データの流通先のプラットフォームとして、それぞれの連携シナリオを完成させました。IVI公開シンポジウムでは、実証実験の内容を、デモンストレーションを交えて紹介する予定です。

本成果を発表するシンポジウム詳細(クリックするとシンポジウム案内ページへ移動します)

 今後、データ流通フレームワーク(CIOF)は、IVIの会員企業を中心に、さらに参加企業を募り、平成31年度は、本格的な商用サービスをスタートさせるための準備を加速させます。また、同時に海外との連携を深め、国内では中小企業でも利用可能な安価なしくみを合わせて開発する予定です。

 

[1] システム基本要件仕様

https://iv-i.org/docs/CIOF_TechnicalSpecification_JP__01_190301.pdf

[2] サブシステムプロトタイプ実装仕様(HCT/HCS編)

https://iv-i.org/docs/CIOF_TechnicalSpecification_JP__02_190301.pdf

[3] サブシステムプロトタイプ実装仕様(HDS/HCM編)

https://iv-i.org/docs/CIOF_TechnicalSpecification_JP__03_190301.pdf

 

連携フレームワーク全体図
3つのユースケース概要

IVI理事長 西岡 靖之からのメッセージ:

日本の製造業は、品質面では海外からとても高く評価されています。しかし、昨今のデジタル化の流れの中で、特に海外でビジネスを展開する際はもちろんのこと、国内であっても、データでつながるしくみが必須となります。そうしたしくみを、日本から提案し広めていくことが、我が国の製造業の競争力の大幅な向上にも寄与すると期待しています。

 

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